「伝わる話し方の専門家」、小紫真由美です。
―「話し上手」を目指さなくてもいい―
のっけから、ドキッとさせるタイトルだったかもしれません。
「話し方を専門にしている人が何を言い出すんだ?」と思いましたか?
でも、これ、冗談でもなんでもなく、
この道で20年以上生きてきた私の実感なんです。
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こんなことがありました。
ある食事会に参加したときのこと。
私を含め5人のメンバーが集いました。
皆、顔見知りだったので、
最初は和やかな雰囲気で始まったのですが、次第に、私は居心地の悪さを感じだしました。
というのも、参加者の一人、Aさんが、場の話題を「独占」し始めたからです。
「ねえ、聞いて聞いて・・・。」で始まり、
自分の近況、家族、仕事のことを延々に話し続けるAさん。
やり手の経営者でもあり、大勢の前でのスピーチはお手の物・・・という人ですので、
確かに「話は上手」で、面白いです。
ですが、他の4人は、彼女のトークを聴きながら、ひたすらあいづちを打つだけ。
やっと彼女の話が一段落し、
他の人が口を開いたのですが、
それでもAさんは、話の途中で割り込んだり、
「それで思い出したけど、私も・・・」というように、自分の話にすり替えたり。(;´Д`)
彼女はその場を仕切る形で、誰かに問いかけ、発言を促すのですが、
それに対して、また延々と自分の話をするので、
結局、その場は、Aさんの興味、関心ある方向に話題が持っていかれたまま。
私は、話したかったことを何も話せないまま、その日はお開きとなりました。
後に残ったのは、「消化不良」ともいうべきモヤモヤした感情と、疲れです。(ヽ”ω`)
話すことが得意で、好きで、言葉数も多いAさんのことを、「話し上手」という人もいます。
ご本人もその自負があるかもしれません。
でも残念ながら、私はそうは思いません。
話すのが好きで得意な人は、気を付けないと、人の話を聴かなかったり、
奪ったりしてしまいます。
結果、人に不快な思いをさせ、その結果、信頼を失うこともあります。
それは、多くの方が目指す姿ではないはず。
私は職業柄、多くの方から「どうしたら話すのが上手くなりますか。」と問われます。
その際、お伝えするのは、
「話が得意で話し上手になるより、話していて楽しい人を目指してください。」ということです。
自分が話すことに意識を向けるより、
まずは、相手の話をよく聴いてください。
しっかりとリアクションをし、
相手が話しやすいように質問してください。
よく聴いて
相手の関心がわかれば、そこに関連した話題を投げかけることができます。
何よりも
あなたが 相手の気持ちを大切にすれば、相手もあなたの声に
耳を傾けてくれます。
無理に滑らかに話す必要もないですし、よどみなく、言葉数多く話す必要もありません。
話し上手より、話していて楽しい人。
そんな、本物の「話が上手い人」を目指しませんか。