「伝わる話し方」の専門家、小紫真由美です。
気仙沼法人会様で、
「商談・交渉に役立つPR術」研修をさせていただきました。
東日本大震災から5年。大きな被害を受けた気仙沼の町は、
復興にむけた町づくりのさなか。
工事の重機の音が響きわたっていました。
「街の姿が(震災前)とは変わりすぎて、
地元の私達も、どこを走ってるか分からなくなるんですよ。」
車で案内してくれた事務局の方がつぶやきました。
沿岸部では、まさにゼロからの街づくりが進んでいます。
新たに建築中の水産会社の施設などは、
津波に備え、全て鉄筋コンクリート製。
盛り土で高さを上げて建設されています。
街は今も変わり続けています。
今回、震災から5年というタイミングで講演のお話をいただき、
私に何が出来るのか。
第一声でどんなことを話せばいいのか。
5年たった今、皆さんが聴きたいのはどんな話か。
などなど、
グルグルと色んなことを考えました。
そして、出た結論は、
「いつもどおり精一杯やること。」
でした。
席にそろった経営者のみなさん、
地域柄もあってか、最初は静かでほとんど表情も変化しなかった(ように見えた)のですが
実習ワークを通じて、互いのことを話し出すと
場がどんどん活性化していきました。
かといって、それだけでは「安心」できません。
本音が聞けたのは研修後の懇親会。
美味しい地元の海の幸を肴に、
お酒が入ると、皆さん、研修の時以上に、いろいろ話してくださいます。(笑)
「正直、最初は『2時間の講演か~。勘弁してくれよ・・・。』と思いつつ参加したけど、
受けてよかったです。」
「時間が立つのが早かった。知らなかったことばかりで、勉強になりました。」
など、嬉しいお言葉をいただき、ホッとしました。
時間がたつにつれ、話題の中心は
「震災からの復興」に移ります。
集まった社長さんたちは業種も様々。
抱えている事情も千差万別です。
それぞれの体験をもとに、色んな意見が出ました。
当たり前ですが、強く感じたことは、
「何をもって復興とするのかは、一人ひとり異なる」ということ。
そして、
「それぞれが、自分の目指す復興に向けて進んでいる。」ということでした。
印象に残った言葉。
「被災地だからといって、過度に気を遣ったり可哀想だと思うんじゃなくて、
普通に気仙沼に観光に来てくれるのが一番有難い。」
翌日は地元の海産物市場へ。
親切に対応してくれた店員さんも似たようなことを言っていました。
「テレビで、悲しいBGMにのせて
『被災した可哀想な町』みたいに気仙沼が紹介されると
違和感を覚えます。
そりゃあ、私だって自身で会社が無くなって、転職したり、いろいろ大変だったけれど、、、。
あれから5年。
立ち止まるわけにはいかないし、なんとか前を向いて生きているし。
被災地として見るだけじゃなく、普通に遊びに来てほしいんです。」
テレビやネットの情報だけを鵜呑みにしていたら、
こういう本音はなかなか聴くことができません。
自分の目で見たり、聴いたりすること
知ったつもりにならないことって大事だなと思います。
「被災地の今を自分の目で見てみたい・・・。」という動機でもよい。
シンプルに「美味しいものを食べに行こう!」でもよい。
そうやって
人が集まり、商売が活発になることで、町は活気づき、人も元気になるんですよね。
仕事を通じて、そして魅力いっぱいの東北のファンとして、
これからも私なりに関わっていこうと思ったのでした。
「龍の松」。高さ17メートルの津波で海岸近くの松の木の多くは波にさらわれましたが、
岬の先端部に、一本、この松が残されました。
姿が、まるで津波に立ち向かう龍のようにも見えることから、
いつしか「龍の松」と呼ばれるようになったといいます。
今は、気仙沼復興の象徴となっています。