「伝わる話し方」の専門家、小紫真由美です。
もしあなたが、だれかの理不尽な言動や暴言を浴びてしまった場合、
どのように対応することが望ましいのでしょうか。
ここまで、私が実際にとった行動を振り返りつつ、
効果的な対応として、
・相手に言い返さない
・自分の感情に寄り添う
そのために、具体的にどうするかを紹介しました。
さて、今日は本題に進む前に、
前回書ききれなかった
「人に話を聴いてもらう」ときのポイントをお伝えしますね。
自分の感情に寄り添う手段として、
気持ちを声に出したり、日記に書いたりすることと同様、
「信頼できる人に、気持ちを聴いてもらうこと」は、
とても有効です。
ただ、一点だけ 心に留めておいてほしいことがあります。
経験上、
もし誰かに話を聴いてもらうなら、
出来事の直後で、気持ちが混乱、興奮している時でなく、
ある程度時間が経過して、
状況を整理して話せる状態になった段階がおすすめです。
感情的になっているまま話しても、相手に事情が伝わりづらく、
気持ちを聞いてもらうつもりが、事情説明に時間がとられ、
互いにストレスになりかねません。
また、
あなたの感情を、そのまま相手にぶつけることにもなるので、
相手によっては、負担に感じるかも。
私の場合、今回は特定の誰かにでなく、
SNSに 自分の気持ちを書き込みました。
(もちろん、当事者が特定できないような表現にとどめています。)
そこで 多くの友人に、共感や励ましのメッセージをもらったことで、
実際に聴いてもらったのと同じぐらい、心が癒されました。
感情を表現する手段は、
あなたの状況、事情に応じて、選ぶことをおすすめします。
では、ここからは今日の本題。
ステップ3 「起きたことを振り返る」
です。
ここで一旦、私のケースを振り返ります。
相手の勘違いから、大声で怒鳴られた当日、
実際の場面が何度もよみがえり、
怒りや悲しみ、悔しさ・・・など様々な感情を味わいました。
「なんであんなひどいことを言われなきゃいけないんだろう。」
「あまりにひどい」
「あんな人が、人の上に立つ人だなんて間違っている」・・・など、
相手を責める思いが強く、気持ちは高ぶったまま。
そんな自分に対し、
「急に怒鳴られ、怖かったね。」「傷ついたね」と寄り添い続けました。
同時に、SNSでは多くの共感メッセージをいただき、ずいぶんと心が癒されました。
翌日以降は、仕事や家事をしている間は、そのことを忘れますが、
少し時間があけば、記憶がよみがえり、
悶々としました。
そのたび、自分の感情に寄り添う・・・ということを繰り返しました。
ここまでは 前回お伝えしたステップ2までの過程です。
さて、ちょっと元気になったかと思えば、
思い出して悶々とする・・・ということを繰り返しつつ、数日たつと、
少しずつ、自分に起きたことを 客観的に見つめる余裕が出てきました。
少し前までは、相手への嫌悪感、腹立たしさにどっぷり浸かったままでしたが、
ふと、「自分はどうしたいんだろう」というように、
自分の未来に意識が向き始めたんです。
「大事なことは、『これから自分がどうしたいか』」だと思い、
自分がハッピーになれ、納得できる選択肢(行動)を考え始めました。
同時に、「あの人が急に怒鳴ったのは、どんな思いがあったからなんだろう?」
と、相手の怒りの「背景」に気持ちが向かうようになりました。
すると、
「ひょっとして、相手はこんなふうに考えていたのかもしれない」
「私に、こんなふうに期待していたのかも」というように、
いくつもの「推測」が浮かび、
相手への憤りが、ずいぶん収まってきたのです。
また、時期を同じくして
心許せる友達に、自分の体験を聞いてもらったことで
いっそう、心の整理が進みました。
具体的には
ー自分はこの先、どうしたいのか
ー自分がこの先の行動を選ぶにあたり、何を大切にしたいか
ー相手は何を大事に考えているのか
感情に飲み込まれていた時は出来なかった
「視点を変えて考えること」によって、
次に自分がとる行動を決めて、実行することができました。
これまで、
EQ(心の知能指数)、コーチング、カウンセリング、アンガーマネジメントを学び、
活かしてきた「感情とのつきあい方」が、少なからず役立ちました。
感情を押し殺さず、
受け止めること。
見つめること。
こうして
自分の気持ちを大事にする結果、
相手の立場や気持ちも思いやれるようになる
そのことを実感しました。
3回にわたってお伝えしたことは、
あくまで私自身の対応であり、
もちろん、このやり方が「正解」というつもりはありません。
私の場合、
この先、会わずにすませられる人でなく、
事情があって 関わらざるをえない人だったので、
「心の立て直し」に時間がかりました。(^^;
相手との関係や状況は人ぞれぞれですので、
必要な対応も異なると思いますが、
私の経験が どなたかの参考になれば嬉しいです。
あなた自分の気持ちを大事にすることで、納得のいく選択ができますように。