布団に横たわった私の身体に、その人はおもむろに手を伸ばし、、、。
新年明けましておめでとうございます。
伝わる話し方の専門家、小紫真由美です。
さて
年明け一回目、いきなり「意味深」な書き出しになりましたが、
実は、実際に私の身の上に起きたことなんです。
お正月、家族で老舗の温泉旅館に宿泊した際のこと。
旅館に泊まる時は、食事、温泉に続き、マッサージを受けるのが私のお気に入りコースなのですが、、、
なんと、今回は、予約しようとした時点ですでに「満員」の状態なのでした。見通しが甘かった・・・(泣)
がっかりしていると、宿の案内を見ていた夫が
「部屋に来てくれるマッサージサービスがあるよ」と教えてくれました。
そうか、その手があったか!(何の手なのやら)
早速電話すると、こちらは、幸い予約が取れました。
実は、お部屋でのマッサージは初体験。
知らない人が部屋に来るのはちょっと緊張しますが、
この日は家族も一緒なので大丈夫。
なにより、
布団に寝そべった状態でマッサージしてもらえるなんて、最高!☆
ウキウキしながら待っていると、
約束の時刻ぴったりにトントンとドアを叩く音が。
「失礼します。マッサージに参りました。」
そこに立っていたのは、白衣を着た体格の良い女性でした。
「お待ちしていました。お願いします」
いそいそと、あらかじめ敷いていた布団のほうへ女性を案内する私。
2人で腰を下ろしたとたん、彼女の第一声は
「はい。それでは横になってください」
・・・え?いきなり?
こういう場合はちょっとした雑談だったり、問診(身体のどこがコリますか?など)をされたりするものと思い込んでいた私は、ちょっとビックリ。
これまでに色んなお店で施術を受けていますが、こういう流れは初めてです。
でも、有無を言わせぬ女性の雰囲気に圧倒され、言われるがままに
布団に寝そべりました。
すると、「うつぶせじゃなく、身体を横にした状態で寝てください。」という指示が。
「は、はい!」慌ててや体勢を変える私。
「整体などではうつぶせ寝が多いようですが、マッサージは違うんですよね。」
お!ご自分の仕事に誇りを持っているんだなあと思いました。
ちなみに女性の話し方は朴訥(ぼくとつ)としていますが、
決して「エラそう」だったり、嫌な感じがしたりするものではありませんでした。
いよいよマッサージが始まりました。
グイッグイッと女性の指が私の身体をほぐしていきます。
こ、これは・・・!
今まで受けたどのマッサージとも異なり、
指先が身体の奥に入ってくるような力強いものでした。
※イメージ画像※
今まで100回以上、色んな店で施術を受けてきたマッサージ、整体マニアの立場から言わせてもらうと、
マッサージって、やみくもに力を入れて押せばいいってもんじゃないです。
押される側は痛いだけだし、身体がかえって緊張して疲れちゃいます。
大事なことは
いかにツボをとらえるか、コリに働きかけるかってことなんです。(力説)
女性の指は、私の身体の「コリ」をしっかりとらえ、ほぐしてくれました。
手で触るだけで、私の身体のどこが弱っているか彼女には分かっているようでした。
この人、すごいな・・・。
部屋に響くのは、女性の「フン、フン、フン、、」という鼻息だけ。
真剣に、仕事をしてくれていることが、彼女の指先から(鼻息からも)伝わってきます。
自分の身体がほぐれ、喜んでいるのが分かります。
「す、すっごく気持ちイイです!」感動のあまり、声に出さずにいられませんでした。
今回は40分コースを頼んだのですが、
これまでの経験では
「え?もう40分も経ったの?」というぐらい、あっという間に感じていたんです。
でも、今回は違いました。
「もう時間過ぎているんじゃないの?この方、時間を間違えているのかなあ?
それともサービスで長く揉んでくれているのかな?」と
こっちが心配になるほど、長く感じました。
それぐらい、内容が濃く、揉まれごたえ(食べごたえみたいですが、、、)があったってことです。
終了後、「今まで受けた中で一番良かったです!」と伝えると、
「それは良かったです」と小さく笑った彼女。
あらかじめ伝えられた正規料金は、「安すぎる」と思ったので、
かなり多めにお渡しました。
固辞されましたが、是非にと受け取っていただきました。
そうしないと、こちらの気が済まないほど、満足していたんです。
こういうことをしたのも初めてです。・・・というか、ごく自然にそうした感じですが。
彼女から学んだことは
プロとしての力量は、顧客に選び続けられるための最大の武器
ということ。
マッサージ師の女性は、本当に飾り気がなく朴訥としたタイプで、口数も必要最小限でした。
ひときわ感じの良い笑顔や挨拶をしてくれたわけでもなく、
気の利いた話題を提供してくれたわけでもありません。
でも、ひとたび仕事を始めると、ただひたすら精魂を傾け、
プロとしての仕事を果たしてくれました。
そのことが私を感動させました。
私たちは、顧客の立場にあるとき、売る側に「感じの良さ」を求めます。
同じ商品・サービスならば、感じのよい相手から買いたいのが人情。
だから、接遇やコミュニケーション力は高い方が良いに決まっています。
でも、どんなに感じの良い接客も、
・料理そのものが美味しくない料理屋さん
・施術そのものはレベルが低い治療院
・希望とは異なる髪型にされる美容院
だったとしたら、、、?
二度と行こうという気にならないですよね。
提供する商品やサービスの質・レベルが満足いくものであること
それが 商売をするうえでの根本要件である
それを思い知らされた体験でした。
自らの力量・技量を磨きぬいて、
お客さまを幸せにする。
これぞプロとしての本懐ではないでしょうか。
プロであるからには、仕事そのもので信頼されて「なんぼ」だと思うのです。
私もさらにプロとしての気概を持って、技量を磨こう。
そして、もっとお客様に貢献しよう!
と改めて心に誓いました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。<(_ _)>