伝わる話し方の専門家、小紫真由美です。

「雪国」新潟にしては珍しく、雪の少ない冬になっています。

私が住んでいるのは市街地ですので、

周りでは「今年は雪が降らなくていいね。」「温かくて過ごしやすいね」という声をよく聞きます。

 

一方で、雪が降ることを前提に仕事が成り立っているスキー場や

除雪作業を請け負う会社などは大きな痛手を受けているようです。

雪上イベントも場所を変えたり、中止に追い込まれたりしています。

「雪が少ない」という事実は一つですが、
それを嬉しいと思うか、深刻に思うかは、その人が置かれた立場によって違いますね。

 

アナウンサーになって1年目の「苦い」経験を思い出します。

 

その年の夏は、連日のように厳しい暑さと晴れ間が続きました。

天気予報のコーナーを担当していた私は、
こんなコメントをしました。

「毎日カラッと晴れるので、洗濯物がすぐに乾いて助かりますね。」

スタジオから戻ってきた私を待っていたのは、

上司からの「注意」でした。

「小紫、晴れて嬉しいですね・・・って感じでニコニコ伝えていたけど、
新潟は農業県だぞ。もうちょっと考えて発言しろ!」

ハッとして、全身が凍り付きました。

そうでした。

私が住む新潟は農業が盛んな地域。

農家の方にとって、晴れ間が続くということは、

農作物の生育に必要な「恵みの雨」がなく、著しいダメージが出ることを意味します。

 

考えてみれば分かることですが、

若く未熟だった私は、カメラの向こうにいる方々の状況を想像することもないまま、

ふと自分が思ったことを、そのまま伝えてしまいました。

おそらく、一定数の視聴者の方には、違和感がある、不愉快な発言だったと思います。

今でも思い出すたび、恥ずかしく、いたたまれない気持ちになります。

人はぞれぞれ、異なる状況、立場で生活しています。

置かれた状況が違えば、同じ出来事に対しても、受け止め方、感じ方はバラバラです。

しかし、私たちは、ついそのことを忘れて、「無邪気に」自分の思ったことを
口にしがちです。

その結果、何の悪気もない発言が、時として

相手を不快にさせたり、傷つけたり・・・ということも。

相手に受け入れてもらえる話し方やコミュニケーションの基本は、

聴き手の立場、状況を想像すること

つまり、

「自分が話そうとすることは
それを聴く相手にとって、どんな意味を持つのか」を想像することが出発点です。

 

あなたにとって嬉しい出来事は、誰かにとって辛い出来事かもしれないのですから。

 

あの経験から数十年。

テクニック以前に大事な心構えとして、

今も自分に言い聞かせています。


スキー場には雪があったほうが嬉しいな。

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